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SEのための変化を力に変えるリフレーミング術

Tags: リフレーミング, レジリエンス, 心理的適応, ストレス管理, 変化対応, SE

変化の速い世界でSEが直面する課題

システム開発の現場は、常に変化にさらされています。新しい技術が登場し、プロジェクトの要件は変わり、予期せぬシステムトラブルが発生することもあります。システムエンジニア(SE)の皆様は、このような変化の波に柔軟に対応することが求められています。

しかし、絶え間ない変化は、時に大きなストレスとなり、疲労感や適応への困難をもたらすことがあります。特に、長時間労働やタイトなスケジュールの中で、予測不能な事態への対応が続くと、心身の健康が損なわれるリスクも高まります。

このような状況下で、変化に負けず、しなやかな心で乗り越えていくためには、レジリエンス、すなわち精神的な回復力や適応力を高めることが重要です。そして、レジリエンスを強化するための一つの鍵となるのが、「変化に対する自身の捉え方」を見直すことです。

レジリエンスを高める「リフレーミング」という技術

私たちは、目の前の出来事そのものに直接ストレスを感じるのではなく、「その出来事をどのように解釈するか」によって、感情や反応が大きく変わります。例えば、急な仕様変更を「面倒な手戻りだ」「自分の努力が無駄になった」と捉えれば、ネガティブな感情やストレスが増大します。一方で、「新しい技術を学ぶ機会だ」「より良いシステムにするためのプロセスだ」と捉え直せば、前向きな気持ちで取り組めるかもしれません。

この「出来事や状況に対する自身の捉え方(枠組み)を意図的に変え、別の視点から見てみること」を心理学では「リフレーミング(Reframing)」と呼びます。リフレーミングは、困難な状況を乗り越えるための心理的な適応力を高め、レジリエンスを強化する強力なツールとなり得ます。

システムエンジニアのためのリフレーミング実践例

では、SEの具体的な仕事の場面で、どのようにリフレーミングを活用できるでしょうか。いくつかの例を見てみましょう。

例1:急な仕様変更が発生した時

例2:開発中に重大なバグが見つかった時

例3:プロジェクトの納期が厳しくなった時

リフレーミングを実践するためのヒント

リフレーミングは特別な技術ではなく、少し意識を変えることで誰でも実践できます。休憩時間や通勤時間など、少しの空き時間に試してみてください。

  1. 状況を客観的に記述する: 今起きていること、感じていることを、感情を抜きにして事実として書き出してみる、あるいは心の中で整理してみましょう。「仕様変更があった」「バグが見つかった」といった具合です。
  2. ネガティブな捉え方を認識する: その事実に対して、自分がどのように感じ、どのように解釈しているかを認識します。「面倒だと感じている」「失敗だと思っている」など。
  3. 別の視点を探す: その状況や解釈に対して、「本当にそれだけだろうか?」「他の見方はできないか?」「ここから何か学べることはないか?」「長期的に見たらどんな意味があるか?」といった問いかけを自分自身にしてみましょう。
  4. 新しい「枠組み」を選択する: 見つかった複数の視点の中から、自分にとって最も建設的で、次に繋がるような「枠組み」を選び取ります。

最初は難しく感じるかもしれませんが、意識的に繰り返すことで、変化や困難な状況に対する心の反応をよりコントロールできるようになっていきます。

まとめ

システムエンジニアのキャリアにおいて、変化は避けられない要素です。その変化を単なるストレスや障害としてではなく、自身の成長やキャリアを形作るポジティブな力として捉え直すことができれば、日々の業務はより意味深いものとなり、レジリエンスは自然と強化されていくでしょう。

今回ご紹介したリフレーミングは、そのためのシンプルかつ効果的な心理技術です。ぜひ、日々の業務の中で意識的に実践し、変化に強く、しなやかな心を作っていってください。